スケルツォ・フォコーソ 作品34
スケルツォはアルカンの好んだ形式のひとつで、彼の持つ悪魔的な部分や圧倒的な熱量がまさに噴出するように表現されたものばかりだ。フォコーソ、炎のように、というこのスケルツォはまさに熱量の権化のような音楽で、内容面でも演奏面でもともかく熱い。おそらく技巧的にアルカンの作品中で最も難易度が高く、譜面の意図通りに弾ききれば、最も派手な演奏効果を狙える曲だろう。中盤のモチーフの欠片を切り貼りしたような、まるで電子音楽かと思えるような部分、そしてなんといっても延々と続く属音の保続からの、これでもかと言わんばかりの終盤の盛り上がり。
この曲を演奏すると、彼の魂の奥底に煌々と輝く炎に手をかざしている気分になる。
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